柊蓮司とベール=ゼファーの場合
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注:この話は、串ナスの独断と偏見?でゲームを選んで作ったほのぼのシリーズです。





串ナスのほのぼの劇場 -柊蓮司とベール=ゼファーの場合-

 輝明学園秋葉原分校三年生、柊蓮司は機嫌が良かった。
 朝から一度もアンゼロットからの拉致まがいのお呼びもなく。
 全ての授業に出席する事が出来たからだった。
 そして、部活も部長で幼なじみの用事で中止、解散となったのだった。
 久々の自分だけの時間。
 そう思うだけで、柊は足取りが軽くなっていた。
 帰ってから何をしようかと考えながら商店街を歩いていると、一つの喫茶店が目に入った。
「・・・そういや、くれはたちが言ってた店だな」
 どういう内容でこの店が話題になったかは覚えていないが、とても楽しそうに話していたのは覚えている。 きっと凄いケーキでもメニューにあるのだろう。
 そして、店の中を気にした時、店の前の看板の前に立っている少女に気付いた。
「・・・?」
 どこかで見覚えがあった。
 輝明学園の制服の上にポンチョを羽織っていた。
「・・・・」
 柊の視線に気付いたのか、ウェーブがかった銀髪を揺らして振り向いた。
「・・・・あら、柊蓮司じゃない」
「べ、ベール・・・」
 少女は、柊に多少驚いたように目を見開いたが、いつものように微笑して、柊が何か言う前に喫茶店に引きずり込んだのだった。
 少女の名は、ベール=ゼファー。
 蝿の女王にして、大魔王の名を冠する者である。


 テーブルの向かい側で微笑んでいる美少女を前に、柊は緊張しているのか、睨みつけているようでもあった。
「はあ、まったく、何が不満なの、柊蓮司? こんな美少女とお茶できるのよ?」
 本当に分からないという風に、少女が微笑む。
「この場合、不満がないほうがどうかしてる。 なんでお前がこんな街の真ん中に堂々と出てきてるんだ?」
「変かしら?」
「変だろう。 魔王なんて名が付いてる奴が喫茶店に入るか普通」
「大魔王よ、柊蓮司」
「・・・どっちでも良いだろう」
「あ、ごめんなさい」
 そう言って、店員を呼ぶベル。
「普通に、店員呼んでるし・・・」
「お待たせいたしました。 ご注文は、お決まりですか?」
「ええ。 これをお願い」
 そう言って、期間限定と書かれたメニューを手に注文するベル。
「はい、こちらですね」
 そう言って、柊を見てから注文を書き込んだ。
「?」
「お連れ様はいかがなさいますか?」
「あ、ああ。 じゃあ、コーヒーで」
「かしこまりました。 ご注文を・・・」
「良いわ」
 注文の確認を遮ったベルが、店員に何か目で訴えているようで、
「それでは、少々お待ちくださいませ」
 一礼して、メニューを持って去って行った。
「・・・何頼んだんだ?」
「店先の看板、見てなかったの?」
「ん? ああ、そんなの見る前にお前が引き摺りこんだんじゃねーかよ」
「このお店って、そんなに話題になっていないのかしら?」
「いや、くれはやエリスが何か言っていたような気がするけど、覚えていねーし。 ・・・って、お前」
「何、柊蓮司?」
「いや、何で俺はここにいるんでしょうか?」
 なぜか敬語になる柊。 途中から忘れていたようである。
「丁度良かったからよ」
「また何か企んでいるのか?」
「そうねえ、もう八割方完了してるけどね」
「何!」
「座りなさい、柊蓮司」
 突然立ち上がる柊を嗜めるベル。
 周囲の目もあって、渋々ながら座る柊。
「お待たせしました、コーヒーをお持ちしました」
「あ、どうも・・・」
 そう言って、コーヒーを疑わしげに見る柊にため息をつくベル。
「私は何もしていないわよ。 今回あなたに害は無いから安心なさい。 紳士たる者、女性をエスコートしてみなさい」
「・・・何だよそれ」
 そう言って、コーヒーを啜っていると、ベルの注文していたらしい物がきた。
「お待たせしました」
 ウェイトレスが、大きなパフェをベルの前に置いて言った。
「カップル限定最強ストロベリーパフェでございます」
「っ! げほっ、げほっ!」
 何とか噴出すのは耐えた柊はむせていた。
「お、お客様」
「大丈夫よ、放っておいて良いわ。 ありがとう」
「はあ、失礼します」
 一礼して去っていくウェイトレスを見送ったベルは、スプーンを手にとってパフェにむかった。
「おいっ!」
「はむ。 ・・・へえ、中々ね」
「おいっ!」
「・・・何、柊蓮司?」
 不機嫌そうにそういうベルにも、柊は怯まなかった。
「なんだ、その何とかパフェって?」
「ああ、限定商品のストロベリーアイスをふんだんに使ったパフェよ。 最近、話題になっているようだったのよ」
「・・・分かった。 そこまでは分かった」
「そう、良かったわ」
「お前、パフェ食いに来ただけか?」
「そうよ。 このパフェはね、あらゆる方面から苺にこだわっているの。 云わば、一つの芸術。 食べるしかないでしょ」
 そう言いながらもパフェをその小さな口に運んでいるベル。
「俺、いらないんじゃ」
「・・・はあ、相変わらず頭悪いわね、柊蓮司」
「何だよ」
「このパフェはね」
「ああ」
「カップル限定なのよ」
「はあ」
「だから私一人で入っても出してもらえないのよ」
「・・・・」
 その答えに、柊は声を失っていた。
「はむ。 これでもかって位苺ね」
「・・・そりゃ、良かったな」
「ええ、それもこれもあなたのおかげよ、柊蓮司」
 そう言って、ベルは満足そうに微笑んでスプーンを置いた。
「もう良いのか?」
「ええ、出ましょう。 あなたは、そう長居は出来ないでしょう」
「ん? 何でだ?」
「結構見られてたわよ。 同じ学校の生徒にね」
「・・・・」
「明日が楽しみね」
「・・・お前、分かってて」
「当然よ。 あなたの熱い視線は中々だったわ」
「ああ、もう良い。 出るぞ」
 そう言って、伝票を無造作に取ってレジに向った。
「へえ」
 ベルは、感心したように付いて行った。


 後日、噂が噂を呼んで怖い巫女さんに追いかけられている柊の姿が輝明学園で目撃された。






あとがき

 今回は、『ナイトウィザード』より、柊蓮司とベール=ゼファーです。
美雪「・・・ちょっと」
 なんだ?
美雪「これ、明らかにほのぼのしてないでしょ!」
 ベルはしてたぞ。
美雪「そーね」
 柊蓮司はそこはかとない不幸なところが魅力だと思うんだよ。
美雪「で、やりたかっただけ?」
 そうだ!
美雪「て言うか、このカップリングでほのぼのってないでしょう」
 ああそうだよ! 何も思いつかなかったYO!
美雪「逆切れか!」
 もう、何だってんだ!
美雪「・・・凍れ」
 『フリーズベント』
 ・・・か、身体が、凍る。
美雪「どれにしようかしら」
 選べるんなら、サイが良い。
美雪「じゃあこれね」
『ファイナルベント』
 ヘビープレッシャー!
美雪「砕けろ!」
 ぎゃあああああああああ!
美雪「ふう、じゃあまたねー!」