2.モータの種類
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| 図3.2-1.モータの概念 |
2-1.モータの構造
続いては電動機、つまりモータの話をしよう。モータには大きく分けて直流電動機と交流電動機の二種類がある。もちろん直流電力で動くのが直流電動機で、交流電力て動くのが交流電動機だ。
ではどのような原理で動いているのだろうか。結論からいうと、磁石を利用している。ご存知のように磁石にはN極とS極が存在する。そしてN極同士、S極同士は反発しあうが、N極とS極とではお互いに近づこうとする。モータはこの原理を利用している。図3.2-1を見てほしい。これはモータの動きを図に示したものだが、今ここに軸で固定され回転している磁石がある。その上には固定された磁石が置かれている。このとき、それぞれの磁石の極性が異なるものであれば、例えば軸側の磁石をN極、固定されている側の磁石をS極とすれば、お互いに引き合おうとする。しかし、このままでは軸側の磁石が固定されている磁石に最も近づいた瞬間に止まってしまう。そこでどちらかの極性を変えてみたらどうだろう。例えば軸側の磁石を固定されている磁石に最も近づく瞬間は何の極性をもたせないでいると磁石はそのまま勢いで固定されている磁石の目の前を通り過ぎてしまう。そして通り過ぎたところでN極からS極へと変える。するとお互いに反発し合い、図3.2-1のような動きになるのではないか。これがモータの原理だ。そして、ここで軸側の磁石の極を変えるのが直流電動機、固定されている側の磁石の極を変えるのが交流電動機の仕組みである。とはいうものの、その磁極の切り替えはどのようにすればいいのだろうか。
2-2.電磁石
そこででてくるのが電磁石だ。もしかしたら小学校での理科の実験でやったという経験がないだろうか。釘などにエナメル線を巻きつけて電気を流すとクリップをくっつけたというものを。モータにはそれが使用されている。ではプラスマイナスはどのように決定するのだろうか。電流が流れている導線の回りにはちょうど図3.2-2のような向きで磁界が発生しています。電流の流れと磁界の向きがちょうど右回しにすると閉まっていくねじのようになっていることから、アンペアの右ねじの法則と呼ばれています。
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| 図3.2-2.アンペアの右ねじの法則 | 図3.2-3.右手親指の法則 |
では釘などに巻きつけたコイルではどのような磁界が発生しているのでしょうか。アンペアの右ねじの法則では導線に流れる電流の向きによって磁界が発生しますが、これが巻きつくことになるとその磁界が一体になり、図3.2-3のようになります。導線が巻きつく向きによって磁界の向きは決定され、その向きはちょうど右手の向きに近くなるので、これを右手親指の法則といいます。
2-3.直流電動機
さて、ここから直流モータの解説を行う。直流モータの基本的な構造は図3.2-4のようになっている。先ほどは安直にN極、S極だけで話したが、それだけではない。フレミングの法則をご存知だろうか。これは力、磁界、電流の流れる向きの相対関係を示すものだが、つまりはこのいずれか2つの流れる向きがわかれば、最後の一つの流れる向きがわかるというもの。それは図3.2-5のような関係にある。例えばここで、磁界の向き(N極からS極へ流れている)と電流の向きがわかれば力、つまりモータの回転方向がわかるということ。それについては図3.2-6を参考にしていただきたい。この図において導線の断面にしるしがついているがこれは電気の流れるむきを記したもの。矢を前から見た状態からとられているが、点になっているのが手前に向かって流れているとき、バツ印のときが向こう側に向かって流れているときだ。同様に発電機についても回転方向(力)と磁界の向きがわかれば、電流の流れる方向がわかる。但し、モータの場合とは条件は異なる。モータの場合はフレミングの左手の法則が適用され、発電機の場合はフレミングの右手の法則が適用される。とはいえ、力、磁界、電流の向きの対応している指は同じ(親指が力、人差し指が磁界、中指が電流の向き)だが。
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| 図3.2-4.直流電動機の構造 | 図3.2-5.フレミング左手の法則 |
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| 図3.2-6.左手の法則関係図 |
尚、モータと発電機の構造は全く同じである。電気を送れば回転運動を生じ、逆に回転運動を与えてやれば、電流が発生する。疑わしく思っている方はミニ四駆のモータを使って豆電球を点灯させてみてください。但し、えらく疲れるけど。
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| 図3.2-7.直流電動機断面図 |
話がずれてしまったが、ここから本来の直流電動機の話に戻ろう。図3.2-4を見ると電流は回転するコイルへと供給されている。しかし、コイルに直接導線をつないでしまうと回転しているうちにねじれてとても使えない。また、図3.2-1でも記したように一定回転ごとに電流の流れる向きを変えて力の向きを変えてやらなければならない。そこで電流を供給するための装置が必要となる。そのための装置は図3.2-4を見ると回転するコイルに半円筒形の金属がついているが、これが受け側となる。これは整流子と呼ばれており、ここに本体からブラシを通して電流が流される。さらに整流子が半円筒形のため、周期的に電流の向きが変わり、きちんとした回転となる。
とはいえ図3.2-4はかなり安直なものであるが本格的な直流電動機は図3.2-17のようになる(あくまで断面図)。本体に固定されている磁石(電磁石)を固定子あるいは界磁と呼んでいる。この界磁には2通りの方法がある。一方は永久磁石、つまり普通の磁石を使用する場合と、鉄心にコイルを巻きつけて電磁石として使用するものだ。ミニ四駆などのモータが前者にあたる。電車で使用されている直流電動機は後者側のほうだ。それに対して中央の回転する部分を回転子または電機子と呼んでいる。電機子コイルの端は整流子に接続されており、そこから電気が供給されている。逆回転する場合はこの電機子に流れる電流の流れを逆向きにしてやればいい。
また、直流電動機の種類は電機子と界磁の接続方法によって次の五種類に分けられている。
- 直巻電動機
- 分巻電動機
- 複巻電動機
- 他励電動機
- 永久磁石電動機
直巻(ちょくまき)電動機とは電機子コイルと界磁コイルを直列につなげたタイプで、分巻(ぶんまき)電動機は電機子コイルと界磁コイルを並列につなげたもの、複巻(ふくまき)電動機とは電機子コイルに直列につないだ界磁コイルと並列につないだ界磁コイルの2種類を備えたもの、他励(たれい)電動機とは電機子コイルと界磁コイルとで別々の電源を備えている電動機で、最後の永久磁石電動機とは界磁コイルの代わりに永久磁石を使用した電動機である。それぞれの回路図を図3.2-8に示す。このうち鉄道車両で使用されているのは大半が直流直巻電動機である。
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| (a)直巻電動機 | (b)分巻電動機 |
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| (c)複巻電動機 | (d)他励電動機 |
| 図3.2-8.各種電動機回路図 |
2-4.交流電動機
続いては交流電動機についてだ。交流電動機には大まかに分けて前述した単相交流電動機と三相交流電動機がある。交流電動機の構造は三相交流電動機が基本となっている。そのためここでは三相交流電動機をもとに話させていただく。
交流電動機は界磁コイルに加えた電流により発生する回転磁界によって軸を回転させている。では回転磁界とはなんだろうか。三相交流電動機の構造は最もシンプルな構造だと図3.2-9(a)のように回転子のまわりにコイルが120度ごとに1組ずつ設置され、その極性は対象となるようにしてあります。そしてその磁界は同じ向きのコイルごとに合成され、図3.2-9(a)のように一体となって方向が定まります。さて、ここで電動機に三相交流電流が流されたとき、その磁性はどのような変化となるだろうか。図3.2-9(c)の波形をみると、時間と共に各コイルの磁界が刻々と変化していきます。図3.2-9(d)の波形は電動機に流れる三相交流の時間ごとの変化を表しているが、例えばAの段階ではコイルWの電流値が-側に最大となり、その両隣は同じ磁極となります。この繰り返しがAからCまで続き、時々刻々と変化し、ちょうどその磁界が回転しているように見えるのでこれを回転磁界と呼んでいるのです。このとき回転子に永久磁石を使用している場合には、同じ磁極であっても電流の値が最も高い所、つまり磁力の高いところへと位置するようになる。
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| (a)交流電動機の原理 | (b)波形 |
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| (c)回転磁界の方向 |
| 図3.2-9.回転磁界 |
ところでこの場合回転方向を変えるにはどうすればいいだろうか。直流電動機の場合は電流の流れる向きを入れ替えればそれですんだが、交流の場合はプラスマイナスの区別がないのでそのようなことはできない。しかし図3.2-9を見てほしい。ここで磁極の流れはU、V、Wと変化している。となればVとWを入れ替えればU、W、Vと変化していき、回転磁界は逆回転をする。三相交流電動機の場合はこのようにして回転の向きを切り替えている。
交流電動機は回転子の構造によって種類が分けられる。その種類は誘導電動機か同期電動機かのいずれかだ。誘導電動機はアラゴの円盤と呼ばれるものを利用している。アルミニウムなどの導体(電気が流れる物)で円盤を作り、そこに磁石を近づけ、円盤に沿ってまわすと円盤はそれに従って回りだす。何故回るのか。これは磁石の磁界によって円盤に渦電流が発生するからだ。わかりづらいが、簡単にいえば電磁石に近い。つまりは2-3.直流電動機で説明したフレミングの右手の法則が関係している。磁石を動かすことによって円盤内にその方向にしたがって電流が流れる。そしてその電流は今度は円盤を時下させるように働くため回転するのだ。誘導電動機には回転子にただのコイルや鉄心を用いている。これを先ほどのアラゴの円盤と同様に磁化し、回転している。但し、ここでは磁石を回転する代わりに回転磁界を使用している。しかしこれではひとつ問題が出てくる。いくら円盤がつられて回っているとはいえ、その回転子にはある程度の負荷が加わっている。そのため回転磁界の回転速度よりも遅くなってしまう。この遅れる割合をすべりという。
それに対して同期電動機は、誘導電動機とは異なり回転子に永久磁石あるいは電磁石に直流電流を流して使用している。こっちのほうが原理としては理解しやすいだろう。こちらのほうが回転子の磁極、つまりN極とS極がはっきりしているので回転磁界の磁極にあわせて回転子が回転する。さらには誘導電動機のようにすべりがないので効率が良いとも言える。
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