MENAなんでもランキング・シリーズ その3
2004年7月16日(改訂)
前田 高行
MENA(中東・北アフリカ)22カ国のGDPの比較
東はアフガニスタンから西はモーリタニアまでのMENA(中東・北アフリカ)22カ国をいろいろなデータで比較しようと言うのがこの「MENAなんでもランキング・シリーズ」です。「MENA」は日頃なじみの薄い言葉ですが、国ごとの比較或いはMENA全体と日本やEUとの比較を通してその実態を理解していただければ幸いです。
第3回のランキングは各国のGDPについてその総額と一人当たりの額を比較しました。
各国のGDP総額及び一人当たりGDP
|
国名 |
GDP総額 |
順位 |
一人当たりGDP |
順位 |
|
|
億ドル |
|
ドル |
|
|
サウジアラビア |
1,884 |
1 |
8,064 |
6 |
|
トルコ |
1,831 |
2 |
2,631 |
9 |
|
イラン |
1,122 |
3 |
1,610 |
14 |
|
イスラエル |
1,036 |
4 |
15,629 |
3 |
|
エジプト |
837 |
5 |
1,470 |
15 |
|
ア首連 |
709 |
6 |
18,906 |
2 |
|
アルジェリア |
559 |
7 |
1,710 |
13 |
|
モロッコ |
373 |
8 |
1,190 |
17 |
|
クウェイト |
353 |
9 |
14,603 |
4 |
|
イラク |
286 |
10 |
1,179 |
18 |
|
シリア |
210 |
11 |
1,226 |
16 |
|
オマーン |
203 |
12 |
8,012 |
7 |
|
チュニジア |
196 |
13 |
2,000 |
11 |
|
カタール |
178 |
14 |
29,010 |
1 |
|
レバノン |
169 |
15 |
4,676 |
8 |
|
リビア |
165 |
16 |
2,550 |
10 |
|
スーダン |
135 |
17 |
390 |
21 |
|
イエメン |
97 |
18 |
503 |
19 |
|
ヨルダン |
96 |
19 |
1,744 |
12 |
|
バハレン |
84 |
20 |
12,594 |
5 |
|
アフガニスタン |
52 |
21 |
186 |
22 |
|
モーリタニア |
11 |
22 |
410 |
20 |
|
合計・平均 |
10,586 |
|
2,322 |
|
|
(参考) |
|
|
|
|
|
EU25カ国 |
89,685 |
|
19,755 |
|
|
米国 |
109,879 |
|
37,748 |
|
|
ロシア |
3,465 |
|
2,400 |
|
|
中国 |
14,100 |
|
989 |
|
|
日本 |
45,329 |
|
35,736 |
|
出典:JETRO監修 「世界各国経済情報ファイル」(The World 2004)
サウジアラビア、トルコがGDP大国
GDPが最も大きいのはサウジアラビアの1,884億ドルである。続いて第2位がトルコ(1,831億ドル)、第3位イラン(1,122億ドル)、第4位イスラエル(1,036億ドル)であり、MENA22カ国の中でGDPが1千億ドルを超えているのはこの4カ国である。以下第5位エジプト(837億ドル)、第6位UAE(709億ドル)、第7位アルジェリア(559億ドル)、第8位モロッコ(373億ドル)、第9位クウェイト(353億ドル)、第10位イラク(286億ドル)と続く。
1位から10位までの上位10カ国のうち6カ国(サウジアラビア、イラン、UAE、アルジェリア、クウェイト、イラク)はGDPの殆どが石油或いは天然ガスで占められている。
最下位(22位)はモーリタニアの11億ドルであり、トップのサウジアラビアの170分の1にすぎない。同国は21位のアフガニスタンの52億ドルに比べても極端に低くMENAの中でも最貧国と言える。GDPが100億ドルを下回る国は両国のほかイエメン(97億ドル)、ヨルダン(96億ドル)、バハレン(84億ドル)の計5カ国である。
22カ国のGDP総額は1兆586億ドルであるが、上位5カ国がその63%を占め、またベスト10カ国で85%を占めており、MENA諸国の中では富が一部の国に偏在している。

一人当たりGDPの格差156倍―群を抜く湾岸産油国
上記各国のGDPをそれぞれの人口(「シリーズその2」参照)で割った「一人当たりGDP」では、上位の順位が大きく入れ替わる。一人当たりGDPが最も高いカタールは29,010ドルであり、22か国中で2万ドルを超えるのは同国だけである。第2位UAEの18,906ドルに比べても断然トップである。以下、第3位はイスラエル(15,629ドル)、第4位クウェイト(14,603ドル)、第5位バハレン(12,594ドル)と続き、これら上位5カ国が一人当たりGDP1万ドル以上である。
カタールはGDP総額ではMENA22ケ国中14位であるが、人口が22か国中で最も少ないため(62万人)、一人当たりでは第一位にランクされている。上位には産油(産ガス)国の名前が連なっており、特にGCC6カ国はベスト7に入っている。このような中でイスラエルの第3位は異彩を放っている。
GDP総額がベスト・ファイブにランクされるトルコ(2位)、イラン(3位)及びエジプト(5位)の3カ国はいずれも人口が6千万人以上もあるため、一人あたりGDPはトルコ9位(2,631ドル)、イラン14位(1,610ドル)、エジプト15位(1,470ドル)となり、イラン、エジプトの2カ国は下位グループにランク落ちする。
一人当たりGDPが千ドルに満たないのは19位イエメン(503ドル)、20位モーリタニア(410ドル)、21位スーダン(390ドル)、22位アフガニスタン(186ドル)の4カ国であり、最下位のアフガニスタンと1位カタールとの格差は実に156倍である。下のグラフでもわかるとおりMENA各国の貧富の格差は非常に大きい。

MENA22カ国とEU、日本他との比較
MENA22カ国のGDP総額と平均一人当たりGDP金額をEU(25カ国)、米国、ロシア、中国及び日本と比較してみる。
まずGDP総額については、22カ国合計1兆586億ドルに対しEUは8兆9,685億ドル、米国は10兆9,879億ドル、ロシア3,465億ドル、中国1兆4,100億ドルであり、日本は4兆5,329億ドルである。MENA22カ国を合わせてもEUの9分の1、米国の10分の1であり、また日本の4分の1に過ぎない。
一人当たりGDPを見ると、MENA22カ国平均が2,322ドルであるのに対し、EU25カ国の平均は1万9,755ドルである。MENAとEUの人口総数は殆ど同じ(4億5千万人強)であるが、両者の一人当たりのGDP格差は8.5倍である。米国及び日本はそれぞれ3万7,748ドル及び3万5,736ドルであり、米国はMENAの16倍、日本は15倍となり、EUと比較した場合より格差は更に広がる。一方ロシアの一人当たりGDPは2,400ドルでありMENA22カ国平均とほぼ同じ水準であるが、中国は1,000ドル以下であり、MENA22カ国中18位のイラク(1,179ドル)よりも低いことがわかる。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。(E-mail;
maedat@r6.dion.ne.jp)