HP「中東経済を解剖する」

2005年6月10日

前田 高行

サウド家の後継者問題を探る

(スルタン家とファイサル家の新たな盟友関係成立か?)


添付「サウド家の系図」参照

目次

1.  はじめに

2.  王室評議会

(1)               評議会の役割

(2)               評議会の構成

3.  後継者候補とその予想(次期皇太子の指名)

(1)ファハド現国王が死亡した場合

(2)アブダッラー皇太子が国王より先に死亡した場合

4.  有力後継候補サルマンの問題点

5.  後継者問題で考慮すべきその他の点

(1)               サウド家王制の安定性

(2)               スルタン家とファイサル家の姻戚関係

 

 

(結論)

 ファハド国王が亡くなればアブダッラー皇太子が即位することは既定路線である。問題は次期皇太子に誰が指名されるかであり、有力候補として世評では現国王の実弟スルタン国防相、サルマンリヤド州知事が上げられている。しかしサルマンは指導者としての適格性に問題があると思われる。またスルタン、サルマンなどの第二世代は高齢化しており、第三世代の登用が必要な時期にある。

 従って次期皇太子(次々期の国王)としてサウド外相が指名される可能性が高い。スルタンとサウドはスルタンの息子バンダル駐米大使の妻がサウドの妹と言う強い姻戚関係にある。従ってスルタン家とファイサル家との間で新たな盟友関係が成立すると考えられる。

 

 

1.  はじめに

 サウジアラビアのファハド国王が入院したと発表され、AP電が未確認情報としつつも国王は重態で治安関係責任者に禁足令が出たと報じたため、サウジアラビア王家の後継者問題がにわかに脚光を浴びた。国王重態説はこれまでも何度か報じられており珍しいことではない。国王は既に84歳(82歳説もある)の高齢であり、しかも1995年に脳卒中で倒れて以来、2002年のスイスでの入院を含め度々入退院を繰り返している。国王の身体及び判断能力がかなり衰えていることは明らかであり、外国からの賓客に対して車椅子で応対する生気のない表情の国王が国営TVでも放映されている。国政の実権はアブダッラー皇太子が掌握しており、今や皇太子がサウジアラビアの最高指導者であることは疑う余地が無い。

 

 サウジアラビアの正式国名である「The Kingdom of Saudi Arabia」の名称が示すとおり同国は「サウド家が支配するアラビア半島の王政国家」であり、サウド家の当主が国王である。サウジアラビアにはイスラム教の聖地マッカ(メッカ)及びマディーナ(メディナ)があり世界のイスラム国家の中でも特別な地位を保っている(因みにイスラム教には三つの聖都があるとされ、残る一つはエルサレムである)。このため、国王は自らに「二大聖都の守護者」と言う称号を冠している。更に同国は世界最大の石油埋蔵量を有し余剰生産能力も高いため、世界のエネルギー情勢に大きな影響を及ぼすことから、欧米先進国もサウジアラビアの動向を注視している。従って同国を支配するサウド家の当主の健康状態或いは後継者問題が世界中の注目の的となるのである。

 

 サウジアラビア王国の基本統治法第5条によれば後継者として資格を有するのは、アブドルアジズ初代国王(通称イブン・サウド)の直系男子、と定められている。アブドルアジズは生涯に26人の女性と結婚しており36人の息子がある。彼らは通常「第二世代」と呼ばれ、サウド第二代国王以下、現在のファハド第五代国王までは全て第二世代が承継しており、まだ20名以上が存命である。彼ら第二世代の子息達、即ち「第三世代」以下サウド家は既に「第六世代」まで誕生しており男子王族の総数は800人近くに達する。

 

このようにサウド家には多数の王位継承権者がおり、国王が死去し皇太子が新国王に即位した場合、誰を後継者に選ぶかについては、現国王や皇太子の意思だけではなくサウド家王族全体のコンセンサスを形成することが必要となる。このために設けられているのが「王室評議会」である。

 

 

2.  王室評議会の役割と構成

(1)               王室評議会の役割

王室評議会はサウド家一族の諸問題を合議制で話し合うための組織として2000年5月に設立されたものであり、議長のアブダッラー皇太子、副議長のスルタン第二副首相兼国防相を含め18名の王族で構成されている。アラブ・ベドウィンの部族社会では部族長が絶対的な権限を有しているが、他の部族との戦争・和平など重要な決定には、部族長が「マジュリス」と呼ばれる合議体の意見を聞くことが慣習となっている。「マジュリス」は部族の長老や有力者で構成されており、構成員の間では地位、年齢にかかわりなく平等である。部族長が死亡したときの後継者も「マジュリス」で決定される。サウド家のような大きな部族では一族の結束を維持するには「マジュリス」制度が不可欠なのである。

 

サウド家がアラビア半島を制圧し国家を樹立した後は、国益に関わる外交・内政・経済等の重要事項は内閣を頂点とする立法・行政組織に委ねられ、サウド家の「マジュリス」が担う責務は国王後継者問題に限られた。しかもアブドルアジズ初代国王以後の後継国王は初代国王の長男サウド以下次男ファイサル、4男ハーリド(3男ムハンマドは自ら即位を辞退)、そして5男のファハド現国王、6男アブダッラー皇太子へと兄弟の年齢順に即位しており、サウド一族の中でも特に異論の余地も無かったので、「マジュリス」はさほど注目を浴びることは無かった。

 

しかしながら現在のサウド家は初代国王の直系男子(即ち王位継承権の有資格者)だけでも800人近くであり、サウド家の始祖につながる外戚を加えると男女合わせて数万人に達する大所帯である。迫りつつあるファハド国王後継者問題に対しサウド家支配の継続性と正当性をアピールするために、「サウド家のマジュリス」を外部に認知させようと試みたのが「王室評議会」である。その意味で「王室評議会」は次期国王(及び次期皇太子)の最終決定機関であると言って間違いない。アラビア半島にはヨルダン、オマーンを始め多くの王制或いは首長制国家があるがいずれも王族の数がさほど多くないため、現国王・首長が後継者を決定するという図式が一般的である。この点でサウジアラビアは大きく異なる。ましてファハド国王自身の判断能力が問われている現状ではサウジアラビアの後継者問題は「王室評議会」と言う合議制で決定することが理に適っているのである。

 

(2)               王室評議会の構成

 王室評議会は以下の18名の王族で構成されている。

          氏名                肩書                家系                                       世代

議長:    アブダッラー       皇太子             サウド家                                             第二世代

副議長: スルタン            国防相             サウド家(スデイリ系)                 第二世代

議員:    ミシャール          州知事             サウド家(父:サウド元国王)         第三世代

        ハーリド            州知事             サウド家(父:ファイサル元国王)    第三世代

        ファハド                                サウド家(父:ムハンマド王子)      第三世代

        アブダッラー                          サウド家(父:ムハンマド王子)      第三世代

バンダル                      (実業家)          サウド家(父:ハーリド元国王)       第三世代

        ムハンマド         州知事             サウド家(父:ファハド国王)               第三世代(スデイリ系)

        タラール            (実業家)          サウド家                                             第二世代

        バドル              国家警備隊副長官 サウド家                              第二世代

        サルマン                      州知事             サウド家(スデイリ系)                 第二世代

        バンダル                                         サウド家           (現国王の従兄弟筋)                 

        アブドルラハマン                     サウド家           (同上)            

ムハンマド                               ジャラウィ家

        ファイサル                                トルキ家

        サウド                                     スナイヤーン家

        アブダッラー                              マシャーリ家

        アブダッラー                              ファルハン家

 

 サウド家は15世紀に第一次王朝を開いたサウド王を一族の始祖とする。現在のサウド家はサウド王の5代後のアブドルラハマン(現国王の祖父)から始まったものである。通常「サウド家」と言えばアブドルラハマンの家系のことであるが、始祖サウド王の子孫も広義の「サウド家」と呼ばれ王族とみなされている。広義の「サウド家」まで含めたサウド一族の正確な人数は不明である。「サウド家王族数万人」と言われることがあるが、これはこの広義の「サウド家」王族を含む場合を指している。

 

上記評議会メンバーのうちアブダッラー皇太子からサルマン(リヤド)州知事まで11名が初代国王の直系男子(即ち王位継承権者)であり、バンダル、アブドルラハマンの2名は初代国王の弟達の息子、つまり現国王など第二世代の従兄弟筋に当たる。またジャラウィ家とトルキ家は初代国王の祖父の代に分家し、スナイヤーン、マシャーリ、ファルハン3家は始祖サウド王の子息が分家したものであり、それぞれ現サウド家の有力な外戚である。

 

このように王室評議会のメンバーにはサウド家とその外戚まで幅広く任命されている。但し18名中13名がサウド家で、さらにそのうちの11名が初代国王の直系であり、当然のことながら王位継承権者が会議メンバーの過半を占めている。世代別では11名の直系の内訳は第二世代5名、第三世代6名であり、近い将来の第三世代への王位継承を念頭においていることがわかる。

 

なお第二世代のうちスデイリ家出身のハッサ王妃を母親とする7人兄弟は俗にスデイリ・セブンと呼ばれ、ファハド現国王、スルタン国防相、ナイフ内相、サルマンリヤド州知事など政府の要職を占めている。このスデイリ系はファハド国王の子息も含めると3名がメンバーである。

 

 

3.後継者候補とその予想(次期皇太子の指名)

後継者は基本統治法第5条によりアブドルアジズ初代国王の直系男子と定められている。初代国王の直系は既に第6世代まで誕生しているが、その核となっているのは初代国王の息子及び孫達、即ち第二世代、第三世代である。この両世代がサウド家を支えると同時に国政の中枢を担っている。

 

年齢的にみれば第二世代は84歳のファハド国王を筆頭にアブダッラー皇太子82歳、スルタン国防相81歳、ナイフ内相72歳、サルマンリヤド州知事69歳など相当高齢化している。一方、第三世代は、そのシンボルとも言えるサウド外相が既に64歳であり、55歳のバンダル駐米大使を含め殆どが壮年期から熟年期に達している。

 

サウジアラビア王国及びサウド家に対する統率力の実績と言う面では、長きにわたって重要閣僚ポストや州知事ポストを経験している第二世代に一日の長がある。しかしながら第三世代も閣僚、主要国大使、州知事などの経験者が増えており次期後継者としての資格は十分備えている。このようにサウド家の現状を見れば年齢的にも能力的にも次期後継者として第二世代、第三世代のいずれが選ばれてもおかしくない状況である。このような中で次期後継者として誰を選ぶかは王室評議会次第と言えよう。

 

しかしながらここで「後継者」ということについて少し明確にする必要があろう。「後継者」とは次期国王のことであり、具体的には皇太子であるアブダッラーが次期国王となることは既定路線である。しかしながらアブダッラー皇太子自身が高齢であり、また実質的な最高権力者として激務に追われ健康への悪影響が懸念される。さらに政治・外交の一線に立っているため暗殺やテロの対象になりやすい。事実、かつてはリビアのカダフィ大統領によるアブダッラー暗殺計画が露見している。最近では国際テロ組織アル・カイダの標的にもなっている。これに対しファハド国王は実務を離れており、しかも世界第一級の治療による延命策が講じられている。国王の家族や側近にとって国王が一日も長く存命することこそ自分達の安定した地位を維持する条件であるから必死になって延命治療を施すはずである。このように皇太子が国王より先に亡くなるケースも十分考えられるのである。

 

そこで本稿では後継者問題を次の二つのケースに分けて考えてみたい。

(1) 現国王が亡くなりアブダッラーが次期国王に即位し、皇太子を選出するケース(通常のケース)

(2) アブダッラー皇太子が国王より先に亡くなり、新たに皇太子を選出するケース(特殊なケース)

 

いずれも次期皇太子を選出するケースであるが両者の意味合いは全く違うのである。

(1)アブダッラー新国王のもとで次期皇太子を選出する場合
 既にアブダッラー皇太子が国政の実権を把握しているため、皇太子が新国王に即位してもサウジアラビアの内政・外交・経済の基本方針は変わらず、国民も諸外国も国王交代を平穏に受け止めるものと思われる。むしろ皇太子に誰が指名されるかに注目が集まる。なぜならば高齢のアブダッラーが短期政権となる可能性が高いからである。次期皇太子として同じ第二世代で1歳違いの義弟のスルタンか或いは比較的若いサルマン(69歳)を指名するケースと、思い切って第三世代でアブダッラーが最も信頼しているサウド外相あたりを指名するケースが考えられる。保守的で急激な変化を好まないアブダッラーは、サウド家一族の反対が比較的少ない第二世代を指名する可能性が高い。

 しかしながら、現在アブダッラーに次ぐNo.3の地位にあるスルタンは自らの年齢を考えて第三世代の抜擢を提案するかもしれない。その場合はサウド外相のほか実兄ファハド現国王の子息ムハンマド東部州知事あたりと思われるが、やはりサウド外相であろう。スルタンとムハンマドはスデイリ・セブンの一族の関係にあり表面的にはサウド外相よりも血縁関係が濃い。しかしながら後述するようにスルタンの息子バンダル駐米大使とサウド外相は義理の兄弟の関係にある。しかも外交に精通したサウド外相を皇太子とした方が現在のサウジアラビアの国益に適うと考えられる。アラブ・イスラム諸国と同時に対米協調にも配慮が必要なサウジアラビアとして外交に強い王族を登用することがサウド家支配体制を維持するために必要だと言うのは、スルタンに限らずサウド家王族に共通した意識であろう。

 それでは第二世代でも比較的若いとされるサルマンはどうであろうか。サルマンがスデイリ・セブン一族であるため、後継者の最有力候補と見る見方も強いが、後述するように筆者はサルマンの後継者としての適格性には疑問があると考える。

 結局スルタンが皇太子に指名されるが、彼自身が辞退した場合はサウド外相となる可能性が高い、と言うのが筆者の結論である。

(2)アブダッラー皇太子にかわる新皇太子を選出する場合
 アブダッラーが亡くなった場合、特にテロ等による場合は混乱を避けるためスルタンが皇太子に選ばれると考えるのが順当であろう。スルタンは高齢を理由に皇太子のポストを実弟のナイフ内相またはサルマンに譲る可能性もある。但しこのケースでは国王、皇太子がいずれもスデイリ・セブンとなり、将来スデイリ・セブン一族による世襲が濃厚となるため他の王族から不満の声が出るであろう。

 それを抑えるための一案として第二皇太子のポストをもうけて第三世代の王子を指名する案が考えられ、その場合は非スデイリ・セブンのサウド外相に落ち着くであろう。なお別のオプションとしては的確な判断能力を失っているファハド国王が生前退位し、スルタン自身が即位するケースが考えられる。ファハドに退位を進言できるのは実弟で実力者のスルタン以外にいないのは事実であり、国政をスムーズに第三世代にバトンタッチするためには望ましい方策と考えられる。この場合皇太子はやはりサウド外相であろうか。いずれにしてもサウド外相の登用はスルタンにとって好ましいことと思われる。

 

4.有力後継候補サルマンの問題点

 サウジアラビア観測筋には、サルマンをスルタンに次ぐアブダッラー体制後の国王後継者の最有力候補とする見方が強い。彼はスデイリ・セブンの一人でありリヤド州知事としての行政経験が長い。そして彼は性格が穏やかで篤志家である。これらのことが彼を国王後継の有力候補とする理由である。

 

しかしながら筆者はこれら全てがある意味で後継者としての彼の非適格性を示していると考える。まず州知事としての彼の実績を考えると、彼の在任中にリヤドで多くのテロ事件が発生している。特に一昨年から昨年にかけてのテロ活動はサウジアラビアの国際的評価を著しく低めた。その中で治安回復の一線に立ったのはスルタン国防相とナイフ内相であり、サルマンの影は殆ど見受けられない。リヤド州知事が普通のテクノクラートであれば間違いなく更迭されていたはずである。この点からサルマンが優柔不断であり決断力と統率力に欠けると考えてもおかしくないであろう。
 

次に篤志家としての彼をどう評価すべきであろうか。サルマンは貧しいイスラム国家や難民に対して惜しげもなく私財を寄付し、或いは国内で各種慈善組織を運営し、またそのための寄付集めを行なってきた。これは確かに高く評価される点である。しかしながら9.11テロ事件を解明する過程で国際テロ組織アル・カイダに対する資金源としてサウジアラビアの慈善団体に疑惑の目が向けられた。米国はサウジアラビアの慈善団体の寄付金が海外で資金洗浄(マネー・ロンダリング)されてテロ組織の資金源になったと指摘している。米国の調査ではサルマンの名前が表面化していない。彼自身は資金洗浄に直接タッチしていないかもしれない。しかし彼の関与している慈善団体に疑惑の目が向けられたことは事実である。

 

このような理由から筆者はサルマンが次期後継者となるには問題があると考えており、王室評議会のメンバーも同様な考えが支配的ではないかと考える。

 

 

5.後継者問題で考慮すべきその他の点

(1)サウド家王制の安定性

 後継者問題についてこれまではサウド家内部の問題として考えてきた。これはサウド家支配体制が続くとの前提である。それでは将来サウド王家が崩壊する可能性は無いのかという疑問が生じる。この点について筆者の結論を先に述べるなら、将来サウド家崩壊の可能性が皆無とは言えないが、少なくとも当分の間、王家は安泰と見る。

 

王室が崩壊するとすれば、(a)王族内の不満分子によりサウド家が混乱に陥り自壊するケース、(b)国内の反王制勢力によりサウド家が打倒されるケース、或いは(c)外国勢力の干渉により王制が崩壊し民主制に移行するケース、が考えられる。

 

しかし現在のサウジアラビアを取り巻く内外の状況を見る限り、これら3ケースのいずれも可能性は低いと考える。(a)については王族の中の不満分子が皆無とは言えないだろうが、現在のところ王族内の派閥争いは見られない、また(b)については若者の失業増加、国内でのアル・カイダの暗躍など社会の不安定要素はあるものの、石油ブームで一般国民は安定した生活を保証されている。ぬるま湯的な環境の下では言論の自由を求めるなど穏健な活動はあるにしても、アル・カイダの同調者は少数派にとどまり、王制打倒の如き過激な反政府運動は起きないと思われる。さらに(c)の外国の干渉についてもかつてはイランやイラクなどイスラム民主主義国からサウド王制打倒の声が上がったが、現在両国ともサウジアラビアとの友好関係を重視している。また中東民主化を掲げる米国も王制そのものは否定していない。このように現在のサウド家王制は安定していると言って間違いないであろう。

 

(2)スルタン家とファイサル家の姻戚関係

 サウド家はアラブ・ベドウィン部族の通例として殆どが同族内の結婚であり、このため姻戚関係は緊密で複雑に入り組んでいる。スルタンはスデイリ・セブンの一員として、サウド外相などのファイサル一族と対立するかのように見られている。かつてファハドが健在であった頃はそのような傾向も見られたが、アブダッラー皇太子が実権を握りスルタンとサウドを共に重用する現在では両家の対立関係は見られない。

 

と言うよりもスルタンの息子で駐米大使のバンダル王子がサウド外相の妹を妻にしていることを注視すべきであろう。つまりサウド外相とバンダル駐米大使は義理の兄弟の関係にあり、スルタン家とファイサル家は強い姻戚関係にある。さらに付言すればサウド外相の実弟トルキ王子は駐英大使である。現在のサウジアラビアは外交が重要課題であり、中でも米英との関係が最重要視されている。その外交をサウド、バンダル、トルキの(義)兄弟が担っているのである。スルタンにとっては内政を自らが牛耳り、外交を息子達に任せることのできる構図は極めて望ましいものと考えられる。

 

以上

 

サウド家については下記レポートもご一読ください。

        サウド家の構図(政官界、ビジネス界及び王室評議会の王族達)

        サウド家の妃達―スデイリ・セブンとファイサル家の姻戚関係

        落日のサルマン家?

 

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サウド家の系図(始祖Saud〜第三世代)

6代前
5代前
2代前
(家系名) 1代前
初代
第二世代
第三世代
Saud
(始祖)
Mohammed


Faisal


(Saud家)


Abdulrahman


Abdulaziz
(初代国王)

Saud(第2代国王)


Mishaal(州知事)


Faisal(第3代国王)
Khalid(州知事)
Saud(外相)
Turki(駐英大使)
Khalid(第4代国王)
Bandar(実業家)
Fahd(現国王)
Mohammed(州知事)
Abdullah(皇太子)
Sultan(国防相)
Bandar(駐米大使)
Talal(実業家)
Walid(大富豪)
Badr(国家警備隊副長官)
Naif(内相)
Salman(リヤド州知事)
Mohammed
Bandar
Abdullah
Abdulrahman
Jalawi
(Jalawi家)




Muhammad
Abdullah
(Turki家)




Faisal
Thunaian


(Thunaian家)




Saud
Mashari


(Mashari家)




Abdullah
Farhan


(Farhan家)




Abdullah